BLADE BEAST
「…ちょ、いきなり驚くじゃない」

「…いいから」




ミーンミンミン……。

繰り返し鳴く蝉のそれを聞きながら、いきなり身体が宙に浮いた感覚に冷や汗をかいている私を構うことなく、眞紘自身も跨った。




「…何してんの?掴まれよ」




………と、そのまま何もしない私に振り返る眞紘。



「あ…ごめん」



ついそう呟いて眞紘の身体に自分から腕を回せば、ヤツは何故か発車準備をすることもなく振り返ったまま私のことを見下ろしてくる。

ジッ…と。

温度の無い掴めない瞳で。



「落ちたら困るし」

「…」

「もっと、回せば?」

「…わっ、」



グンと引っ張られると、私はピッタリと眞紘の背中にくっつくようにして身を預ける形になってしまった。
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