BLADE BEAST
コイツは"いつも"遅刻寸前で登校してくる。
"いつも"、この時間にホワイトムスクの香りが私の鼻を掠めてくる。
何を考えているのか分からないような無表情な顔のまま教室に入ってきて。
マジで学校がかっ怠いんだろうってのは、私と同様なその雰囲気から伝わってくる。
一瞬見えた伏し目がちな瞳。
筋の通った高い鼻。
そしてハチミツ色の柔らかそうな髪を揺らし、私に背中を向けて少し踏ん反り返る男は、中性的な顔立ちをしているんだと思う。
……またこんなギリギリに。
なんて事を考えるのには、私がこの男と少なからず面識があるからで。
「生徒会からのプリント回すぞ〜」
──────例えばこういう時だとか。