BLADE BEAST
──────瞬きを、一回。


こんな単純なやり取りをするだけなのに、ここまで心労を極めないといけないのかと本当に厄介だと思う。



ホワイトムスクの甘い香りが鼻につく。

それとは正反対に涼しげな瞳に、若干ながらに切れ長の瞳。



担任の話はもう始まっているというのに、眞紘と私の間の謎に静まった空気は元に戻る事はなく。







「…なに」




グッと眉間に皺を寄せながら、私からついに口を開いてしまった。

本当は心を見透かすような冷め切った瞳で見るな、と言いたいところだけど。

どうも私はこの男が"前々から"苦手らしい。



返事は返ってこない。

ハチミツ色の長い髪の間から、ただ無言の視線だけが向けられた。




ギシッと軋む机の音。

下から覗き込むように、交わる瞳。










「──────髪」
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