BLADE BEAST
何が、言いたい。

何が、あるというのか。


酔いなんかすっかり冷めた私は、ヤニばんだ香りを纏いながら見下ろしてくるこの男を見上げていた。

少し、騒つく。

その向こう側には数人の男がニタニタしながら此方を見てきている場面があった。




「莉央ちゃん。…どんな子かと思えば、スゲー綺麗な子じゃん」




きっとコイツらは状況を甘んずる下っ端どもに違いないってのは、存在感などが気薄なことからも容易に判断できた。



問題はそこじゃない。

──……一気に、狂った。





「今日はどんな子かと思って見に来たんだけど……、まさかこんな上玉だったとは」

「…何、」

「いやぁ…ね?"崩したい"って言っただろ?」

「…」




溶けきれないもやつき。

解けない糸。


男は────私へと手を伸ばした。
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