BLADE BEAST
来る。

────誰が?


近づいてくる。

────奴らには気づかれずに。




引っ張り込んだ私を押し倒した男は、したなめずりをするといよいよ顔を近づけようと距離を縮めてくる。

それを覆い隠す男達。

私は、まだ胸に残る疑問の中、ただその音だけを聞いていた。





「なーにしてんの?」





刹那。クッ、と割り込む高い声。

そこには、立ったまま円状にくっついて囲む男達を掻き分けるようにして覗いてくる──男がいた。

面白そうなことでもしてんの?っていう具合に見てくる男。

コイツらとは比にもならないほどのとんでもない存在感。





──────晄だ。
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