BLADE BEAST
さっきまで女に夢中だったはずなのに、そこには間違いなく晄がいた。

いきなりの頭の登場。しかもフランク。

やっぱり肝が据わっていない下っ端だったのか、奴らは簡単に息を呑んで震え始める。




「莉央がそーゆう趣味の持ち主で、好意的にしてるんだったらいーんだけど……どうやら違うっぽいね?」

「…うっ…宇喜多っ……」

「嫌がってんのに無理やり襲ってんのは、許せないかな?莉央は大事な女の子だし」

「……っ、」




とびきり甘いフェイス。

だけど目は笑ってない。



フワリフワリと黒髪を揺らす晄は、私に覆い被さっていた男のことを、思い切り前かがみになって見下ろした。




「…死にたい?」




ポケットに手を突っ込み、ニッコリと笑いかける晄と完全に全身を震えさせる男達。

それは、楽観的でありながら、酷く残酷な台詞でもあった。
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