BLADE BEAST
結果、男達は逃げ去った。

晄に逆らうことは"宇喜多組"に逆らうことと同じ。その威圧に耐えかねて逃げたのだろう。

やっぱりおつむが弱かった。こんな敵の巣窟に、しかもトップの晄だっている場所に少人数で近づいてくるなんて。





それに、妙なことを言い残したまま消えやがった。畑を荒らすだけ荒らして、あとはとんずらをこきやがった。

晄は最終的にはこうやって助けてくれたけど、それは何も私だけじゃない。

女の子が困ってたら皆助ける。

だから尚更、その理由だけで私をチョイスしたのなら中身が薄すぎてどうも説得力がない話だ。

……なんて、





「…莉央。ごめん。怖かったよね」





ふいに抱き締められたその感覚はやっぱり安心感を抱かせて、いろいろと考えていたことを一時忘れさせてくれるようだ。

皆と変わらないかもしれない。

誰にだってするんだと思う。



それでも別に構わない。

ただ襲われそうになった私に気がついて助けに来てくれたこと。

それが嬉しいと、思った。
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