BLADE BEAST
──────けれどまだ、見てくる。

ホワイトムスクの甘い香りを漂わせながら、冷め切った涼しげな顔で。

長い前髪に隠れた瞳がやけに図れない。

低すぎもなく、高すぎもしない中性的な声も苦手ランキングのかなりの上位に入るくらいで。

静かに、そして確実に視線を合致させれば、



「そ」



また大して興味なさげに前に向き直ってしまう。

……やっとプリント離してくれた。

なんてのは後についてきた。

何故席替えでコイツの後ろになってしまったんだと、くじ運の悪さに激しく後悔。



怠そうに頬杖をついてどっかを見ているらしい後ろ姿だって、私と被るような体制なのだから二人仲良く同じ格好してるねと言われそうで最悪だ。




玖珂 眞紘(くが まひろ)。

────私はなにかとコイツと接点がある。
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