BLADE BEAST
「ん」



冷えピタを貼った眞紘は、普段絶対には見せない甘くトロンとした顔を向けてくる。

覚束ない瞳。それはちゃんと私へと絡み合わせてきて。




「海行った時、勝手にどっか行って…ごめん」

「…」

「折角気を利かせてイチゴオレ買いに行ってくれたのに、眞紘を置いて消えちゃって…ごめん」




大したことないって思ってるかも。

そんなこと考えてんのは私だけなのかもしれないけど、どうしても筋を通したかった。




「挙句には変な不良に絡まれて…私、馬鹿だよ」

「…」

「いつもみたいに大人しく待ってればよかったのに」

「…」

「眞紘は、きっと探してくれたよね」

「…」

「探してくれてるって、思った…」

「…」




眞紘は何も言わない。

何も、言わないでただ私を見てる。


手を握ったまま。
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