BLADE BEAST
「莉央だけだから」

「…まひ、」

「"俺には莉央だけなのに"」




私はハタリ、と固まった。

"だけ"って────何?


そう思いながらも眞紘は熱にうなされながらも、さらに掠れた声で口を開く。




「でも…駄目だって、"分かりきってる"…」

「…眞紘、」

「"ここ"に身を置く、"アイツ"に特に気に入られている、莉央には─────」




眞紘は、何かを伝えようとしていた。

けれど、測れない。まともじゃない発熱状態であることと、まずその言葉の意味すらも定かではない。


私は、ただ見ていた。

熱にうなされ変な夢でも見てるんじゃないか、と。らしくない眞紘を見下ろして、何か楽にできるいい方法がないかと探した。





「大丈夫?熱、しんどいの?もし氷欲しかったら────」





けれど、また引っ張られる手。

立ち上がろうとした私は姿勢を崩し、眞紘に軽く覆いかぶさるような状態が出来上がってしまった。
< 250 / 601 >

この作品をシェア

pagetop