BLADE BEAST
「…しんどい」








やっと出し切ったような、か細い声。

ハッとする私と、眞紘の視線が合うことがなかったのは彼が私の指にはまっているピンキーリングを見ていたからだ。




「思ってたより…しんどい」




ゆらゆらと、瞳を揺らしながらずっと見てるそれに吐き出される言葉。

掠れた声。キラリと光るピンキーリングは晄との旅行でその仲が深まった証だということを、彼は理解しているような顔をしていた。




「舞い上がった分、余計に…しんどい」

「…眞紘」

「何をしたって、結局は────……」




大したことない感じに聞き流せなくなったのは、私にとって眞紘という存在が大きくなったからだ。

私らしくない。"あっそ"ってあしらうこともできない。アンタは本当に変な男だ。
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