BLADE BEAST

意味が分からないと言わんばかりに食いかかる美織と、ニッコリと意味深に笑う恭平は私の瞳の奥を見ているようで。






「だって、莉央ちゃんの触ったら物凄く"怒る"ヤツがいるから」






やっと口を開いた恭平は────確かにそう言っていた。



怒る…ヤツ？晄？いや、それは違うな。

だって晄はあの日、海で襲われそうになった時だって、私にそういう趣味があるのなら別だった的なことを言っていたわけだし。

そもそも晄にそんな概念は無くて。




「めっちゃ怒るね。俺半殺しにされちゃうかも」

「…」

「誰なのかは教えられないけど、まぁ…そういうことだよ」




ヒラヒラと手を振って去っていった恭平は、荒らすだけ荒らして帰りやがった。

美織も状況を掴めないでいるみたいだし、私だって"ハ？"って感じの顔をしている。

そのあとにやってきた上機嫌な豪太によってその空気は一気に変えられて、まぁ、あの恭平のいうことだし当てになんないか…と漠然と思っていたのだった。