BLADE BEAST
二階の廊下を歩く私は、一体何処を見ていたのか。


──ガン、

考え事をしていたせいもあって、曲がり角の直ぐ向こう側に、ゴミ箱が置いてあることに気づかなかった。



案の定バランスを崩す。

やば………コケる………。



なんて思ってたのもつかの間、その時に香る、あの甘いホワイトムスクに…私は思わず顔を上げた。






「あぶな……」






思わず吐き出されるその声。トサリと抱き留められる感覚。

見上げれば、この前と一転して涼しげな瞳を落としてくる、あのハチミツ頭の眞紘がいた。



かなり不格好。それでも唖然として見上げる私に、眞紘は何一つ表情を崩さずにただ見下ろしてくる。

あの甘えたは、やはり熱のせいだったのかって納得してしまうほどに。
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