BLADE BEAST
「あ、ありがと…」

「別に」





離れればやはり素っ気ない返事が返ってくる。

なんら変わらない眞紘だ。長い前髪から覗くあの瞳も、いつもの眞紘の目になっている。




「もう熱は、平気?」




だからこんな変な気遣いをしている自分にも驚いた。

助けたならそれで終わりでいいじゃないって話なのに、何故今もコイツに気にかける必要があるのか、と。

ナチュラルに出てきてしまった言葉に、ほら。眞紘も瞬きを何回かして意表を突かれてる。



あの日は眞紘の言う通りにずっと側から離れなかった。眞紘の目が覚めて、容体が落ち着くまでは離れなかった。

それは…頼まれたからだ。

きっとそう。じゃなきゃさっさと帰る。

…きっと。
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