BLADE BEAST
「もう下がった。平気」

「そ」

「莉央がいてくれたおかげ」

「…」




抑揚が無いながらも、少し穏やかな眞紘の声はよく耳を撫でられるような感覚に陥る。

黙って頷けば、眞紘はまだ黙って私のことを見ていた。



また眞紘は"G.G"の人達と馴れ合うことはなく、こんなところで一人距離を取っている。

一人が余程好きなのかっていうのは、案外私も同じことが言えるのかも。





「………ねぇ」

「…」

「あっち、行く?」

「…」





そして眞紘はふとそう言った。

私がまた幹部達が使う部屋に行こうとしていることを、よく私とあの場で遭遇している眞紘は理解していた。



しかもそれは、一緒にって意味。

前の私だったら拒否ってたかも。

一人が好きだったし。



でも───今は、何故か眞紘といる方が落ち着くような気がして、また私は頷いてしまった。
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