BLADE BEAST
「なんか飲む?」




幹部室に入ってソファーに腰を下せば、冷蔵庫を開けている眞紘がまた抑揚の無い声でそう聞いてきた。

此方を見てくる眞紘は、白のVネックシャツから鎖骨を覗かせながら前屈みになっていて、角張った骨だとか、妙に印象づけられた。

しかも何処か怠そう。何そんなに見つめてんだと思った私は「うん」と頷いてから前に向き直る。




「はい。ミルクティーにした」

「…ありがと」

「……勝手にいれたけど嫌いじゃなかった?」




カチャ、とグラスが置かれるそこには甘い香りを漂わせるそれがあった。

そして向かい側ではなく私の隣に座ってくる眞紘は、当たり前のように私に気遣いとやらをしてくれる。

またしても、コイツは……。




「いや……好き、」




────私の好みを理解しやがる。
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