BLADE BEAST
"あっ"と発したのは別の男だ。

男にしては少し高いそれは、聞いた瞬間に酷い嫌悪感に苛まれる。

そしてあの美織も同じように口を引きつらせて一点を見ているのだから、私は意地でも振り向きたくはなかったのだが……。



「…チッ」



そうもいかない。


振り返ればそこには手すりの上に腕を合わせ、その上に顎を乗せて此方を見下ろしてくる茶髪の好青年がいた。

ゆるりと口角をあげるそれは知的そうに見える。

穏やかに目尻をさげて微笑み、如何にも花がとんでそうな雰囲気を宿すこの男は、────"G.G"の幹部。

位の高い存在。故に周りには一目置かれていて……いるのだが、



ゆるりと頬杖をつく。

やんわりと上げられる口元。

コテンと曲げられる首。






「おっぱい」






──────とんでもない変態男だ。
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