BLADE BEAST

奥底に隠れた狂気。

それから晄は、私をまるで眞紘から引き離すかのようにして頻繁に拘束した。

勿論他の女への配慮も欠かさない晄はどんだけ器用なんだってくらいに、時間をうまく使って彼女たちの満足度を高めてやっていた。

私に対してはそんなの無視してくれていいのにって正直思ってて。




晄との時間が嫌いなわけじゃない。

だから今までずっと付き合ってきたわけなんだから、それは本当で。

けれど、そうだそうだと思っているうちの五回に一回くらいの頻度で、あの涼しげな眞紘の顔がポッと浮かぶ。


アイツ、また風邪なんて引いてないかとか。

またどっかの部屋で寝っ転がってるんだろうなとか。


余計なことを考えるから、本気で私は変になってしまったのかもしれないと思った。

何でもない赤の他人同然のヤツじゃない。

今までだってそうだったのに、アイツは割と私のことを見ていてくれているんだって知っちゃったから。
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