BLADE BEAST
──────向かう先は、眞紘のところ。
カツカツと足を進めれば、血溜まりの上を躊躇なく踏みつけている自分がいた。
"莉央?"と呼ばれるそれも無視して私は、ただ瞳を揺らしている眞紘のことを見ていた。
血の匂いがするだとか、汚い残骸があることだとか、さっきまで眞紘がやってた残虐な行為だとか、そんなのはどうでもよくて。
ただ────胸が痛くて。
何を背負ってんだか知らないけど、儚そうにする眞紘を見たらたまんなくなったんだよ。
嫌悪なんて、今更アンタにするわけない。
戸惑いと、物哀しさと、色々な感情を混ぜ合わせた瞳が、変わらずに私に注がれる。
いつも飄々としてるくせに……。
「……莉央─────………」
眞紘が私の名前を呼ぶその瞬間。
私は黒い髪を撒き散らし、大きく一歩、踏み出した。