BLADE BEAST
思い返せばきっと。
ぺっとりと、ワイシャツに血液が染み込んでくる感覚がした。
私の顎をサワサワと撫でてくるのは、いつも通りすがった時に教室で揺らしている、ハチミツ色の髪。
触れたいとか、思ったこともなかったけれど、コイツの髪は予想以上に柔らかかったから意外に思ったり。
────なんて、こんな血生臭い状況下で、何故か張り詰めまくっている空気の中で、割と呑気なことを考えてしまっていたらしい。
「莉央…?」
「…」
また、晄が少し困惑ぎみに私の名を呼んだ。
他人に興味関心など持ってはいなかった私が動いたのだから相当驚いたんだろうが、それこそ私にとっては結構どうでもいいジャンルに分類された。
今は、コイツが────眞紘が、もしかしたら傷ついているようでほっとけなくて。