BLADE BEAST




晄は、もう帰ろうと言ってきた。

いきなり呼び出しては本当の眞紘の姿を知って嫌いになればいいと言ってたくせに、もう帰ろうだなんて如何にも晄らしい。

ちょっと意地悪しちゃったってレベルの顔。

きっと、晄にはそのくらいのもんで…。





「…行かないよ」





だから、気づけば強くそんなことを言っていた。



同時にピクリと反応したのは眞紘で、晄も意表を突かれたような顔をして私のことを見ていた。

晄のことは、嫌いじゃない。

晄のいいところ、沢山知ってるし、私は彼といて確かに"幸せ"ってもんを感じていたと思うから。

────けど、





「…なんで、…なんで……眞紘に加勢しなかったの…?」





それとこれとは別だった。

< 328 / 601 >

この作品をシェア

pagetop