BLADE BEAST
──────なんでだろう。

なんで、こんなに。






「────理解できない」






心の奥底が震えているんだろう。


代わりに眞紘を抱き締める力が強くなった。

眞紘が今どんなことを考えてるのかなんてそっちのけで、少し先にいる晄に私は強い眼差しを向けていたに違いない。




「あんな大人数…、ナイフまで持ってる人がいた」

「…莉央?」

「負けなかったけど、無傷で勝てるなんて甘い幻想…。現に怪我なんて凄く酷い」

「…何言って、」

「何が起こるかなんて、分かんないじゃん」




晄はまた意表を突かれたような顔をしていた。

けれど私は構わなかった。

何が私を突き動かすのかも知らないままに、不思議と胸の奥が熱くなってゆくことだけを理解していた。
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