BLADE BEAST
「別に、どうもしないけど」

「…どうもしない?」

「そう。お金は置いてってくれるし、別に不自由はしてない。暇だけど」

「…暇?」

「暇だよ。家自体は広いのになんか窮屈だし。だったら溜まり場行ってる方がマシ」

「でも煩いのは嫌いで一人が好き」

「…」

「矛盾、してる」




クスリ、と眞紘が笑った。



頬杖をついて私の脳内を見透かしているような顔をするヤツに、私は思わず口をギュッと結んでしまった。

確かに。ってのが本音。

だけど何だか悔しかった。




「どっちが本音?」

「…」

「ま…何となく、分かるけど」




眞紘にどんどん私という人間を分かられてゆくようで、ムカつく。

ムカつくのに、いい気持ちもする。

──めちゃくちゃだ。
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