BLADE BEAST
眞紘はまた私を見ていた。

前髪の奥に見える、射抜くような瞳。





「莉央は、あんな俺を見たのに何で…今までみたいに受け入れてくれんの?」





きっと、その言葉にはいろんな思いが混じっているに違いなかった。

ただ無言の視線を向けてくる尖った瞳は、私を掴んで離さなくて。



────けれど、その答えなんて単純なものでしかなかった。





「だって、───関係ないから」





あくまでも大した問題ではない。

なんて思って答えれば、眞紘はパチパチと瞬きをして意表を突かれたような顔をしていた。




「私にとって、眞紘がどんな人間かなんて何となくだけど掴めていたから」

「…」

「核となる部分、それを私は分かってたから、今日見た場面は後付けに過ぎない。だから、…関係ない」

「…」

「確かに驚いたりはしたけど、眞紘には眞紘の事情ってもんがあるのかもしんないって思ったから、私がどうこう言うもんでもないし」

「…」

「かといって否定もしてない。眞紘が生きてる世界に変わりはないんでしょ?」
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