BLADE BEAST
一度唇を離せば吐息が漏れる。

そして直ぐその吐息を呑み込むようにして、熱い舌が割り込んできた。

伏し目がちで眞紘は私を見てる。

私も、眞紘を見てる。



覆いかぶさる影。

壁に身体を預ける私。

シャンプーの香り。



チュッ…とリップ音を響かせた彼は、程なくしてそれを離すと至近距離で私のことを見つめてきた。




「奪いたくて、たまらない」

「…っ、」




とんでもなく甘い台詞を吐いて、また視線は唇へ。

角度をつけて近づいてきたそれは、また強く押し当てられると何度も弄ぶ。

ああ、きっと手遅れなんだ。





私は"気づきかけている"。



「────けど、」



そう言ってまた距離を取った眞紘に、私はらしくなく火照った顔のまま見つめ返す。
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