BLADE BEAST
「莉央って苦いもの好きだったよねー?」
「…え?」
備え付けのキッチンで鼻歌を歌っている晄は、背を向けたまま私にそんなことを聞いてくる。
「…あ、えっと……」
「んー?」
「あー、うん」
結論を言うと私は私の事を伝えるのが苦手だ。
思えば髪を切ったとこも香水を変えたことも自分で言えばいい話なんだと思う。
そうすればいくら鈍感な晄でも分かってくれて、きっと"可愛い"とか"いい匂い"だとか褒めてくれるんだろうけど、……どうも、出来ない。
────私は、自分を晒すことが、苦手。
まぁ別に、だからってどう人間関係が変わるわけでもない。
些細なことなのだから、それはそれで構わないんだけど…と私はそう思うことにして湯気が立っている珈琲へと目を向けた。
しょうがない……。
これくらいのこと、だし。
……と、取っ手に手をかけたのだけど、
────コロッ、と、
前から何かが転がってくる。
「…え?」
備え付けのキッチンで鼻歌を歌っている晄は、背を向けたまま私にそんなことを聞いてくる。
「…あ、えっと……」
「んー?」
「あー、うん」
結論を言うと私は私の事を伝えるのが苦手だ。
思えば髪を切ったとこも香水を変えたことも自分で言えばいい話なんだと思う。
そうすればいくら鈍感な晄でも分かってくれて、きっと"可愛い"とか"いい匂い"だとか褒めてくれるんだろうけど、……どうも、出来ない。
────私は、自分を晒すことが、苦手。
まぁ別に、だからってどう人間関係が変わるわけでもない。
些細なことなのだから、それはそれで構わないんだけど…と私はそう思うことにして湯気が立っている珈琲へと目を向けた。
しょうがない……。
これくらいのこと、だし。
……と、取っ手に手をかけたのだけど、
────コロッ、と、
前から何かが転がってくる。