BLADE BEAST
伝えなきゃいけないこと。
────それから、私はしばらく溜まり場に行く気にならなかった。
両親も心配をして部屋まで様子を見にきてくれたけれど、私は本格的にメンヘラの仲間入りをしてしまったらしく立ち直ることが困難になっていた。
多分、それは私が本当の気持ちをアイツにまだ伝えていないからなんだと思う。
伝えて、それでも駄目だったのならすんなり諦めがついたのかもしれない。それか物凄い酷い扱いをされたまま去って行くとか。
だけど、眞紘はひっそりと親に謝りに来ちゃうなんてことをするくらいに、物凄く綺麗に去って行ったから。
余計考えてしまうような離れ方。
余計恋しくなってしまうような離れ方。
ふざけんな…なんて、胸の中で思ってもアイツに伝わることはない。無情にも星のネックレスがキラキラと輝いて見えて、私に眞紘を思い出させる。
ほんと……そんなになるだなんて思ってもなかった。
ゴロリと寝返りを打った時、ブーブーブー…と、とある無機質な振動が生じる。
見れば携帯の画面が明るくなっていた。
"着信"
その相手を見て、起き上がる。
落ちてきた黒髪の束を耳にかけると、充電のコードを抜き取ってから画面をタップして、
「……もしもし」
それを耳に近づけた。