BLADE BEAST
それは、四角い包み。角砂糖。

顔を上げれば何食わぬ顔をして無糖の珈琲を飲んでいる眞紘の姿があった。




眞紘の受け皿にも角砂糖は乗っていたのに、それは姿を消して代わりに私のところにもう一個分のそれがあった。

え……?と、もう一回見れば、今度は一回だけチラリと此方に目だけを向けてくる眞紘がいてそれはまた何処かへと戻された。




あ……。

なんてもう一度角砂糖に目を向けて、ハタと思う。




────まさか、私が苦いものが苦手だということを察してくれたのだろうか。




「…」

「…」



直接的に会話を投げかけてこないものの、その涼しげな目だけで何を言っているのか分かったような気がする。

"使えば?"

そんなところだろう。


自分は使わないから、使えば?と。
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