BLADE BEAST
────正直、気が進まなかった。
何と無く、星のネックレスは肌に離したくなくて付けてきた。カツカツとヒールを鳴らす私は、久々にも感じられる溜まり場の中で足を進ませる。
事件の後だったからって、迎えの者が家まで来てくれていたのは、まだ一人で街を歩かせるのは精神的にも、そして危険が潜んでいるかもという面に対してへの計らいなんだろう。
「晄」
そう、私を呼んだのは"G.G"のトップ、晄だ。
晄の部屋の入り口で立っている私に、同じようにずっと立って待っていたらしい彼は甘く優しげな笑顔を向けて振り返ってくる。
艶のあるウェーブがかった黒髪が、サラリと流れた。
「…何日も顔出さないから、心配した」
「…ごめん」
「怪我は治ってるみたいだね。…良かった」
「…うん。迷惑かけて…ごめんね」
「…ふっ、莉央、謝ってばっかり」
晄は少し困ったように、そして可笑しげに眉を顰ませて小首を曲げている。
相変わらず綺麗に整った顔。
私は他の子と同じように、そのふとした顔に胸を躍らせることはなかったけれど、でも…ちょっとだけ気分が休まるのかなってのだけは理解できて。