BLADE BEAST
キュッと口元が上がった。
そしてまた晄を見ると、彼は何とも優しい笑みを私に向けていた。でもそれは、私が拉致されたことによって深い心の傷を抱えているんじゃないかと心配していたからなんだろう。
晄は、私に気を使って連絡をしてこなかった。
きっと晄も色々考えてたはずで。
私が変に気を重くしないようにと、晄なりの気遣いをしていたんだということはこの安堵したような、そして困っているような笑みから直ぐに読み取れた。
……"G.G"を抜けた眞紘。
……この西側にはもういない眞紘。
眞紘は───"宇喜多"に、晄に私を任せると言っていた。
そうして、いなくなった。
それが眞紘の望み。眞紘の想い。
そう……なんだよ。
私がどうこう足掻いていたって、眞紘本人がそう言っちゃってるんだから何も変わらないのかもしれない。
こんなにウジウジしていたとしても、晴れることなどきっとない。
現に眞紘はもうこの場所にはいなかった。
もう、本当に行っちゃったんだ…って、認めざるを得ない状況が完全に出来上がる。私はそれを感じたくなくて家から出なかったのかも。
認めなきゃ、いけないって。
次を見ないといけないって…思わなきゃいけないから。