BLADE BEAST




「俺、他の女の子、みーんな切っちゃった」

「…え?」

「ほんとだよ?だって莉央が好きだから」

「……」

「莉央のこと、ちゃんと守るし、ちゃんと見る」

「……」

「幸せにだってしてみせる」

「……」

「大事に、するから…だから、やり直そうよ」





一つ一つの台詞を心から吐き出しているかのように丁寧に述べている晄は、全くもって嘘なんてついていないんだと分かった。



……その方が、いいのかな。

意味もなく部屋に籠るより、晄と。

絶対にいない眞紘の姿を永遠に探すより、晄と。



それにはっきり言われてしまったから。

はっきりと、"幸せにして"って。

私の声は届かなかった。

────つまりはそういうこと、なのかもしれない。




「……私は、」




きっと、私は"幸せ"ってやつになれるのかな。

それなら────……って、口を開こうと一歩晄のもとに近寄った。
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