BLADE BEAST
────けれど、何故か晄は一つ、大きく眉を下げ始めた。
「……なんてね」
「え…?」
「………莉央、聞いて」
晄は、私の言葉を制するようにして自分のそれを挟んできたんだ。それも、何かを諦めたような、開き直ったような瞳を向けて。
「"東"は不安定だって言われているけれど、"玖珂"の力は、実は周囲が口を揃えて認めるほどに確かなものなんだよ」
「…何を、」
「"宇喜多"は絶対的安定を誇るようだけどさ、"玖珂"だってかなりの拮抗を見せてる。そもそもさ、対立派は多いらしいけれど、無闇矢鱈に抗争を仕掛けてくる組はまず無いくらいだからね」
「……待って」
「だからこの間の組は本当に頭の出来ていない馬鹿な奴ら。…本当に大したことないゴミ屑同然」
「晄、」
「そんな奴らに眞紘が油断しちゃったのは、前…あったでしょ?俺が莉央の変化に気づいてあげられなくて強姦に合いそうになっちゃったあれが原因で、ゴタついちゃったから」
晄は急に饒舌になった。
戸惑う私に困ったような顔を向けてくる晄は、はなから何かを決めていたみたいだった。