BLADE BEAST

「俺に非があるのに、アイツ勝手に責任取ろうとしてさ…流石に後味悪いよね」

「…っ」

「しかもあんなに意地悪しちゃったのに、それについて何も言ってこないし」

「…っ」

「"玖珂"とは友好関係ってのを気づいていたけど、やっぱり一人でこっちに来ている"人質"的存在の眞紘が、俺のお気に入りに近づくってゆーのはやっぱりイイ気がしなくてさ…ほんと、小さい」

「…っ」

「仕事も、結構ヤバイもんばっか任せてたし…性格歪んでるの、強ち間違いじゃないね…」




ハハッ、と困ったように自嘲する晄。きっと、本気で考えたんだ。晄は今、より良くなろうとしている。

私は、意味は全く違うとしても晄のことが"好き"だと思っていたことには変わりはなかったから、だから…この変化に胸が温かくなってゆく感覚が生じたの。





「だからさ、俺はその"歪んだ性格"を存分に使いまわすことに決めたよ」





────けれど、そこでまた私の思考回路はあっけなく停止した。

目の前にはクスリと、企みをこめた笑みを向けてくる晄がいて、瞳をパチパチと動かしている私のそれとある意味意味深にからみ合う。



「…え？」

「ちょーっとね、やっぱり意地悪することにした」

「え？」

「女の子を切ったのは本当だし、莉央を好きなのも本当だけど…、でも、莉央は俺のとこにいちゃ駄目なんだと思うんだ」

「……何言って、」

「────溜まり場の入り口前ロータリー」