BLADE BEAST






────気がつけば、私はベッドの上で組み敷かれていた。

散らばる黒髪。暖色ライトで柔らかく照らされる眞紘の顔。影が私へと直で落ちてくる。

匂いが、吐息が…熱が………私を支配する。




「だから、俺が全部消す」

「…まひ、ろっ」

「もうずっと我慢してた」

「……まっ、」

「ずっと…こうしたくて。ね…いーでしょ?」





なんて、私の答えは一つだけ。

現に虚ろになってゆく瞳は、完全に眞紘のものになりたいと言っているようなもんで。




「……っぁ、」

「……かわい、」




落ちてくる唇は、私の首元を甘く刺激する。

服の裾から直で入り込んでくる手にすら、過剰過ぎないかというほどの波を感じて。


…やっぱり、こんなの知らない。

こんな緊張……知らない。





「…っゃ、」

「…ダメ」

「ま、ひろっ…」

「ん。…かわい、」




両腕をシーツに縫い付ける眞紘は、妖艶な色を帯びた瞳を私へと下ろしてくる。

はだける上着。赤くなる頬。

彼のさらに奥には、幾つもの星屑が輝きを作っていた。





何を考えてんのか分からないと思っていた、アンタのその刃のような瞳が、こうも"欲情"を表しながら近寄ってくる。

────それはまるで、獣。



ギシリ、とベッドを軋ませて、私の白い肌に手を這わしてゆく眞紘は、伏し目がちに唇へと視線を寄せた。

ジワリ、

ジワリと。

もどかしいほどにゆっくり、貴方は近づく。






「……………シても、いい?」






いつかも吐いたような、甘ったるい言葉を添えて、私の返事を待つことなくその距離を……一気に縮める眞紘は、その寸前にある言葉を、──────耳打ちしたんだ。
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