BLADE BEAST
後味悪いのだけは勘弁。
泥棒猫だ、とあとで文句を言いに来られても困る。こっちはそんなつもりなんて更々無いのにいい迷惑だ。
「晄っ…」
「莉央がいつも付けてる香水好き、イイ匂い」
「…話、聞けっ」
しかも、何をとぼけたことを。
つい最近まで付けてたものから、フレーバーを大きく変えたんですけど。
フローラル一色だった以前のそれから、柑橘系を感じるオードゥトワレに変えたんだけど。
そうやっていろんな女の匂いを嗅いでいるからゴッチャになってんじゃないのって、最早呆れるしかない。
「……晄っ!!」
――しかもほら、“穂波ちゃん”がとうとう怒った。
ああ…面倒くさ。
なんて溜息をもう一度吐けば、プリプリと頬を膨らませた"穂波ちゃん"が、自分に構わずグングンと私の腕を引っ張って出て行こうとする晄のことを睨みつけていた。
“私を置いて何処に行くつもり”
そんなところだということは重々承知。
最早私が帰ってあげたいくらいなのに、晄の気まぐれはどうしようもない。
泥棒猫だ、とあとで文句を言いに来られても困る。こっちはそんなつもりなんて更々無いのにいい迷惑だ。
「晄っ…」
「莉央がいつも付けてる香水好き、イイ匂い」
「…話、聞けっ」
しかも、何をとぼけたことを。
つい最近まで付けてたものから、フレーバーを大きく変えたんですけど。
フローラル一色だった以前のそれから、柑橘系を感じるオードゥトワレに変えたんだけど。
そうやっていろんな女の匂いを嗅いでいるからゴッチャになってんじゃないのって、最早呆れるしかない。
「……晄っ!!」
――しかもほら、“穂波ちゃん”がとうとう怒った。
ああ…面倒くさ。
なんて溜息をもう一度吐けば、プリプリと頬を膨らませた"穂波ちゃん"が、自分に構わずグングンと私の腕を引っ張って出て行こうとする晄のことを睨みつけていた。
“私を置いて何処に行くつもり”
そんなところだということは重々承知。
最早私が帰ってあげたいくらいなのに、晄の気まぐれはどうしようもない。