BLADE BEAST
腰にグンと手を回した晄はもうそっちのモードに入っている。

自慢みたいだけど細い私の腰にいとも簡単に抱いて、片手は毛先やら口元やらに触れながら首の近くに顔を持ってきて。

トロンとした雰囲気。

いや。別に付き合ってるわけだし、駄目なことはないんだけれど………、




「…ねっ、待っ……」




イチャイチャモードというやつに入ったらしい晄の胸に手を置きながら、────思わずテーブルの向こう側を見た。

だってそうだ。二人きりじゃない。

正面には、眞紘がいて……、





こんな場面を人がいる前でしたくはないと力無い抵抗を続けつつ、ふと先程、執拗に毛先を弄ってきては、


"良くなったと思う"


そう言ってきたヤツの姿を思い出していた。
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