BLADE BEAST
いや本当に、さっきから反発してるのを見ているのならお分かりになるだろうけれど、私は貴女の邪魔をしに来たんじゃない。




マジで帰りたい。

美容室行きたい。

けれどすっかり気が変わってしまったらしい晄は、私の腕を放すことなく、“あ”と思い出したようにベッドルームへと振り向いた。





「ごめん。穂波ちゃん帰って?」


――絶句である。



さっきまで“可愛い”と言っていたのはどの口だろうか。

熱視線を送っていたのはどの目だろうか。


デニムパンツのチャックまで開けてヤる気満々だった男が、あっけらかんと笑っていた。




「……嘘でしょ? 晄から誘ってきたのに」

「え? そうだっけ?」

「そうだよっ! 今日はあたしとシたいって! 誘ってきたんじゃん!」

「んー…、ごめん、忘れた。っていうか、今はこの子とシたくなっちゃってさ」


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