BLADE BEAST
ドギツイ赤のブラジャーを隠すことなくこちらを睨みつけてくる“穂波ちゃん”。




――晄と付き合っていくということはそういうことだ。




晄はもの凄い気分屋。

セックスをする時はその人の存在ごとまるっと愛してはくれるけれど、そこを理解していないと自分の気持ちが溢れかえってゆくばかりで生産性がなくなっちゃう。





「――だから、帰って?」



笑顔だけど、その裏側はピリリとした殺気が込められている。



甘いようで、
優しいようで、

このような冷徹なオーラをも発する晄はこの近辺では最も有名と言っても過言では無い男。



――それには深い訳があるのだが。






「〜〜〜っ、さいっていっ!」




著名ブランドのバッグを手に持ち、シャツのボタンを勢いよく止め直す“穂波ちゃん”は涙目で出て行った。

“女泣かせの晄”

その異名は変わらずに健在で。





「じゃ、行こっか」



まるで何事も無かったかのようにまた腕を引っ張りだす晄は、当然ながらに私の気持ちなんて察することもない。
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