恋とカクテル
 友美のように即日ベッドインはやはり私には無理だし、友人というわかりやすい逃げ道もろくに作れていないけれど、これで良いのだ、自分にはあれこれ仕掛けずにひとりと親睦を深めていくほうが合っていると結論付けた。

 だって結局、いくつになっても恋の始まりは甘酸っぱい。それこそこのワインクーラーぐらい、もしかしたらもっと。
 彼に視線を移せば、私の指を絡めたまま、先ほど感じた男の色気を潜ませて、再び穏やかな優しい笑みをたたえていた。
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