恋とカクテル
#エンジェル・フェイス
「好きだよ」と言った私に対して
「ありがとう」とあなたは応えた。
その瞬間、察してしまう、また他に好きな人ができたのね。
彼との関係はいつだって曖昧で、私が彼女だったことなんて今まで一度もなかったし、それでもいいと思っていた。彼は女の子にモテるし、新しい子と出会うと彼女がいてもすぐに目移りしてしまうような人で、そんなだからどの子と付き合っても長続きしなくて、すぐに私のところに帰ってきていたから。
「別れたら関係が終わっちゃうから、君とはそうなりたくない」なんてもっともらしいことを言って、私をいつも『友達以上、彼女未満』のところに置いておく彼。
そんな酷いことを平気な顔して言うなんて、とんだ最低野郎だと私自身思うけれど、それでも私は彼が好きだし、こんな人と付き合ったら心がすり減って壊れてしまうとわかっていたから、私もこの曖昧さに浸ってきた。
彼女と別れても、私がいるから安心していられる。そんなダメさが愛おしかった。
けれど最近、少し疲れてしまったみたい。
いつまで経っても気の多いあなたに?それとも年を重ねて冷静になってきている自分を誤魔化すことに?
「何飲んでるの?」
いつものお店でマスターと話していると、新しい彼女と早々に破局した彼が私の隣にやってきた。
「エンジェル・フェイス」
「ふうん、綺麗な色だね」
黄金色のグラスを私から取り上げて、照明にかざして繁々と見つめる。
「飲んでみる?甘味があって美味しいよ」
「ん…甘い、かなあ?辛くない?いやでも後味はさっぱり…うーん?これは、なかなか…」
あまりお酒が飲めない彼には刺激が強かったようだ。
「ふふ。あなたみたいなお酒でしょう」
どう言う意味?と尋ねる彼に、私は静かに微笑んだ。
「ありがとう」とあなたは応えた。
その瞬間、察してしまう、また他に好きな人ができたのね。
彼との関係はいつだって曖昧で、私が彼女だったことなんて今まで一度もなかったし、それでもいいと思っていた。彼は女の子にモテるし、新しい子と出会うと彼女がいてもすぐに目移りしてしまうような人で、そんなだからどの子と付き合っても長続きしなくて、すぐに私のところに帰ってきていたから。
「別れたら関係が終わっちゃうから、君とはそうなりたくない」なんてもっともらしいことを言って、私をいつも『友達以上、彼女未満』のところに置いておく彼。
そんな酷いことを平気な顔して言うなんて、とんだ最低野郎だと私自身思うけれど、それでも私は彼が好きだし、こんな人と付き合ったら心がすり減って壊れてしまうとわかっていたから、私もこの曖昧さに浸ってきた。
彼女と別れても、私がいるから安心していられる。そんなダメさが愛おしかった。
けれど最近、少し疲れてしまったみたい。
いつまで経っても気の多いあなたに?それとも年を重ねて冷静になってきている自分を誤魔化すことに?
「何飲んでるの?」
いつものお店でマスターと話していると、新しい彼女と早々に破局した彼が私の隣にやってきた。
「エンジェル・フェイス」
「ふうん、綺麗な色だね」
黄金色のグラスを私から取り上げて、照明にかざして繁々と見つめる。
「飲んでみる?甘味があって美味しいよ」
「ん…甘い、かなあ?辛くない?いやでも後味はさっぱり…うーん?これは、なかなか…」
あまりお酒が飲めない彼には刺激が強かったようだ。
「ふふ。あなたみたいなお酒でしょう」
どう言う意味?と尋ねる彼に、私は静かに微笑んだ。