仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
◇愛のない新婚生活。



 今まで彼氏がいなかったわけではない。一応キスも経験しているけど、こんな大人の濃厚なキスをされたことなくて……目眩がするほどに体の芯が熱くなっていく。


「……ぁ……っ」


 自分じゃないような声が漏れて恥ずかしくなる。嫌なはずなのにもっと触れてほしくてたまらなくて彼を自分から抱きしめ返す。


「咲良、俺は心の底から愛している」


 跡継ぎという言葉が脳裏を過ぎる。
 あぁ、そうか……これは、私に“跡継ぎ”を産んでもらえるように彼が私に暗示をかけているんだ。

 
 だから、この時……拒むことが出来なかったんだ─︎─︎─︎─︎……。
























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