仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
* * *
それからランチに出かける日曜日。
俺は何故か眠ることが出来なかった。まるで、中学生のガキみたいな俺に自分が驚きが隠せない。
「鏑木さん、今日はありがとう」
「……はい。こちらこそ誘っていただきありがとうございます」
鏑木宅へ彼女を迎えに行き、社長と奥様には夕方の16頃には帰ると伝えてから外に出ると駐車スペースに停めていた車の助手席のドアを開けた。
「あ、ありがとうございます」
「あぁ。じゃあ行こう」
エンジンをかけ車を出発させて、30分ほどで予約済みのお店に到着。
「あのっ……ここ」
お店の外には彼女と同世代の子たちがたくさん並んでいる。高校生はここがいいんだよな? 俺はちゃんとリサーチした。ネットで調べたら、女子高生が好きな店はこの店だと載っていた。だから即予約した。
「テレビで見た。ここが女子高生人気No. 1という店だと特集していた、インスタ映え……というやつがいいらしい」
「えっ、私の為ですか?」
「あぁ、君はあまりこういう店は好きではないかな?」
ずっと浮かない表情だった彼女が、目をキラキラさせて見ている。あぁ、可愛い。
「……行きたかったお店なので嬉しいです」
「そうか、良かった。じゃあ店の中行こうか」
車から降りて店に行くとタイミングよく出てきた店員に声を掛け、店内に入った。