仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。



 テーブルに並んでいるのは、肉じゃがだ。少し焦げてる感じはあるけど、とても美味しそうだった。
 

「いただきます」


 一口、口に入れるとジャガイモがホクホクでとても美味しい。


「美味しいです、とても」

「本当か? 咲良のご飯には到底敵わないが、俺、昔料理教室というものに通っていたんだ。一ヶ月で辞めたがな」


 え……料理教室? 蓮司さんが、お料理を習っていたの?


「結婚できないと考えたお袋が飢え死にしないようにと勝手に、な。こんなところで役に立つとは思わなかったが」

「すみません……明日からはしっかり作りますので」

「……無理はしないでいい。俺も心配してたんだ、毎日3食作って掃除や洗濯までして……外に出るようになったとはいえ、疲れるものは疲れる……適度に休憩は大事だ」


 そう言った蓮司さんはとても優しくて、いつもの彼じゃないみたいだった。




 
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