仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
「提案なんだが、週に2回外に外食に行こう」
食べ終えて洗い物をしていると、コーヒーを飲んでいる蓮司さんが急にそんなことを言いだした。
「え……? 外食、ですか?」
「あぁ、君の負担を少しでも軽減させたい」
「……私、そんなにダメだったでしょうか。料理美味しくないですか?」
「いや、美味しいよ。だけど君には快適に暮らしてもらいたい。もし本当に負担なら、ハウスキーパーだって頼めばいい」
ハウスキーパー……? 家政婦さんを呼ぶくらいに私のご飯は美味しくないんだろうか。
「家事をするのは私の仕事です。あなただって私に家事全般を完璧に出来る人を妻に迎えたかったんでしょう?」
「……は? 俺はそんなこと言った覚えはない」
「両親に言われました。蓮司さんは家事全般をできる人が良かっただけなんだって」
結婚式当日の朝、控え室で両親……いや母親に言われた。
『蓮司さんが求めているのは完璧な妻よ。家事全般をしっかりやりなさい。そして立派な男児を産むこと』
私はそう言われて家事全般を頑張って完璧だと彼に妻だと認められるように
「……分かった、だけど俺は咲良を家政婦にするつもりはない」
そう言った蓮司さんは、リビングから出て行ってしまい自室へと入ってしまった。