仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


   《蓮司 side》


【今日はご飯はいらない。先に寝てていい】


 咲良にラインを送るとすぐに既読になり、返事が返ってきて思わず口元が緩んだ。


「─︎─︎─︎おい、一人でニヤニヤしてるな気持ち悪い」

「……言葉遣い悪いぞ、敦志。ここ会社」

「会社でニヤニヤし始めたのは蓮司だろ? 全く」


 言葉遣いがとても悪いこいつは俺の第一秘書である成川敦志(なりかわ あつし)。敦志とは中・高・大学と長い付き合いで唯一の親友だ。口は悪いが、仕事はとても出来る俺にとってはなくてはならない存在だ。


「……そんなことどうでもいいだろ。さっさと、資料見せろ確認する」

「へいへい、どーぞ社長様」


 そう言ってタブレットを渡すと丁寧に説明を始める。


「……すぐに視察に行った方がいいかもしれませんね、前にもミスがあったので先方も敏感なんでしょう」

「あぁ、そうだな。中国か……明日行くから手配してくれ」

「かしこまりました、では朝一のを手配します」




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