仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
15時ごろになると、夕食の準備はもう出来上がっていて蓮司さんを待つだけだ。
【今、空港着いた。すぐ帰る】
蓮司さんからそんなメッセージが届いて胸が高鳴った。高鳴る胸を抑えて、【分かりました、気を付けて帰って来てください】とすぐに返信する。
「どうやって出迎えよう……普通に、の方がいいかな」
いつも通りでいいか……違うことをすると緊張して変なこと言ってしまいそうだし。普段通り出迎えることに決めてソファに座った。
* * *
「ただいま」
「おっ、お帰りなさいっ! 出張お疲れ様でした」
18時を過ぎた頃、帰ってきた蓮司さんを玄関でいつも通りに出迎える。数日会わなかっただけなのに寂しくなって彼に抱きつきたくなる。
「咲良……? どうかした?」
「……あっ! ご、ごめんなさいっ。蓮司さん、ご馳走を作ったんです」
「ご馳走?」
「はい。蓮司さんの好きな筑前煮とかだし巻き卵とか、シフォンケーキも作りました!」
蓮司さんと一緒にリビングに行き、彼のカバンとジャケットを受けとり、私はクローゼットへ向かった。