仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
「美味っ」
「美味しい……」
ハヤシライスを食べ終わると蓮司さんはお風呂に入り、今はソファに2人で座ってお茶タイム。ケーキ付き。
「……あの、蓮司さん。一口だけ味見させてくれませんか? そっちの美味しそうです」
私は、いちごのティラミスを選んだんだけど……蓮司さんのいちごのモンブランも美味しそうでついそう提案してしまった。甘党な蓮司さんならくれるかなぁ、と甘い考えだっただろうか。
「あ、あぁ……じゃ、交換。はい」
「……!?」
蓮司さんはモンブランを自分のフォークに乗せて私の口に近づけてきた。
「……食べたいんだろ? はい、口開けて」
えええ……!? 蓮司さん、どうしちゃったんだろう。こんなことする人じゃなかったのに……。
「食べないの? 美味しいのに」
「っ! た、食べます!」
私は、意を決して口を開けると口の中にモンブランが入ってきてモグモグする。いちごの酸味と後からくるクリームチーズだろうか甘味が口いっぱいに広がって美味しい……。
でも、今蓮司さんにあーんされたことが思い出されてドキドキが止まらない。こんな恋人同士みたいな事されたら勘違いしちゃう。
「咲良」
蓮司さんは私の名前を呼び、私を見ると「クリーム付いてる」と人差し指で掬い彼はその指を舐めた。