仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


 《蓮司 side》


「……なんでそんなにイライラしてんの」

「してねーよ」

「奥さんに避けられてるのがそんなにイライラしてるんのかー」


 違うと反論しようと思っていたのに図星すぎて何も言えない。本当に避けられている。一緒に取っていた食事も、最近は別々で顔を合わせても簡単な挨拶か相槌のみだ。


「何かしたんじゃないのか? いつからそんな避けられているんだ」

「一線超えた日、から」

「ぶっ……い、一線超えた!? え、ヤったの?」

「それから少し経って、体調悪そうで……」


 そんなに嫌だったんだろうか……嫌だったけど、拒否ができなかったってことか? 


「蓮司、ちゃんと話した方がいい。今日は早く帰るんだな」

「ああ……だが、うまく話せる気がしない」

「仕事じゃなんでも話してるでしょ、昨日だって契約取ってきたじゃん」

「それは仕事だし、プレゼンするだけだ」


 仕事なら、プレゼンの上で話すことが出来る。でも咲良の前になるとそうもいかない。だがこの状況はまずい。このままだと離婚一直線だ。



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