仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
◇告白と結婚指輪
***
んー……
「眩し……」
カーテンから漏れている太陽の光が眩しくて、目を覚ます。私、あれから寝ちゃったのか……。
「え……ここ、ベッド……」
蓮司さんが運んでくれたのかな? 私は起き上がると、ベッドの近くにあったテーブルにメモ書きが置いてあった。
【すぐ戻る。 蓮司】
蓮司さんらしい無駄のない言葉に私は寂しさよりもなぜか嬉しさに笑みが溢れた。
「……朝ごはん作ろう」
蓮司さんが帰ってきたらすぐに食べられるように。
私はキッチンに立つと、卵を割って牛乳を入れかき混ぜる。それに食パンを浸す。浸している間に、生クリームを少しだけ固く泡立てる。
「……蓮司さん甘いの好きかな」
そう呟けば、扉が開いたと同時に入ってきた蓮司さんは大きな紙袋を持っていた。
「ただいま、咲良」
「お、おかえりなさいっ……あの、蓮司さん」
「話す前に咲良が作った朝ごはんが食べたい」
そう言われ、しっかり熱したフライパンにバターを溶かし食パンを焼く。それと生クリームを皿に盛り付けると、ナイフとフォークを置いた。
「いただきます」
初めて手料理を作った日みたいに緊張する。どうしよう……ドキドキして、心臓壊れそうだ。