仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。
◇両親に報告を。
─︎─︎あれから2か月。葵結さんにお願いした指輪が完成した。
「付けてみてくれる? サイズとか大丈夫?」
「はい、とても可愛いですっ」
「良かった。でも、咲良ちゃん。指輪妊娠中は外した方がいいわよ」
妊娠中は……? どういうこと?
「妊娠中は浮腫むから指輪抜けなくなっちゃうらしいの。それにもし、帝王切開になったら切らなきゃいけないらしいから」
「えっ……そ、そうなんですね。知らなかったです」
「私は、紘くんのお義母さまに聞いたの。私と紘くんもいろいろあって妊娠中に結婚したから」
そうなんだ……知らなかった。
「浮腫まない人もいるらしいけど、個人差があるからね。箱にネックレスチェーンも付けたから良かったら使ってね」
「はい! ありがとうございます、大切にしますっ」
「いいよ、こちらこそありがとうね。そうだ、この機会にお友達になりましょ! プライベートでお茶飲みに行こ?」
お友達……! お茶……!
憧れてた世界なんだけど……嬉しすぎる。しかも、こんな綺麗な人と。
「ダメかな?」
「いえっ! とても嬉しいです。ぜひよろしくお願いします」
葵結さんとLINEの交換をし、次にお茶会の約束をしてから彼女の家を後にした。
そしてやって来たのは蓮司さんの実家……稲葉家である。